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【ロジカルシンキング】【論理的思考】帰納法の使い方|論理が破綻するアプローチ

帰納法とは、事実である観察事項の類似点をまとめ、結論を導き出す論理展開の方法です。この記事では、帰納法が持つ『破綻した論理に騙されてしまうメカニズム』について解説します。簡単な論理のトリックに騙されないように帰納法を理解してください。

この記事でわかること
  • 帰納法の使い方の基本
  • 帰納法の、論理破綻を起こすアプローチパターン
  • 注意するべき、世の中の偏向データの存在

論理展開するときの帰納法の使い方

帰納法とは、事実である観察事項の類似点や共通点をまとめ、結論を導き出す論理展開の方法です。この場合の結論は、抽象度の高い一般論となり、観察事項とは過去の経験や、すでにある情報のことです。

マーケティングで使う帰納法の論理展開

ビジネスシーンでも、帰納法を使ってマーケティングや商品開発など様々なことを行っています。マーケティングでは、情報を様々な角度から収集し、結論(推論)を導き出します。その際使われる帰納法は、対象の範囲の原理原則を知らない場合でも、事実を積み重ねる事で結論を導くことが出来ることがあります。

マーケティングでの論理展開の例

マーケティングや商品開発で帰納法が使われている例として、コンビニで売っている高単価なアイスクリームのアイテム数について考えているとしましょう。

『店舗の売上データを見ると高単価なアイスの売上が伸びている。』
『アンケートの結果、高単価なアイスを買うことが増えたという回答が70%だった。』
『他のコンビニチェーンでも品揃えが増えている。』

このようなデータから、「今後も高単価なアイスクリームが売れる」という結論が導かれ、メーカーでは高単価アイスの商品ラインナップと生産数を増やす方向で検討するかもしれません。

帰納法は利点ばかりではない?

売上データ、アンケート結果、市場の動向などから販売戦略や商品開発を行うときは、帰納法的な手法と言えます。原理原則の固定概念にとらわれることなく商品開発を行うと、斬新で今までにないイノベーションが生み出せる可能性もあります。
しかし、逆にこのデータの質や扱い方にずれがあると、思わぬ落とし穴があるのです。この落とし穴について、次の項目で解説していきます。

\帰納法についてまとめると/
  • 帰納法とは論理展開の手法のひとつである
  • 帰納法のアプローチは、複数の観察事項から共通項をまとめる
  • 帰納法の結論は抽象度の高い一般論になる

帰納法で、論理が破綻するアプローチ

ここで気をつけなければいけないのは、帰納法には論理が破綻している場合が存在する、ということです。論理が破綻している場合でも、帰納法で説明されると騙されてしまうアプローチには、いくつかの種類があります。ここでは、よく見かける3つのパターンを紹介します。

パターン(1) 共通項と、結論に関連性が無い

観察事項の共通項が結論と無関係であるにも関わらず、無理やりまとめているパターンです。

観察事項①・・・スイカは、水分を多く含んでいる
観察事項②・・・ぶどうは、水分を多く含んでいる
観察事項③・・・いちごは、水分を多く含んでいる

結論(間違った結論)・・・水分が多いものは甘くなる

果実の水分の多さに関しては事実なのですが、果実の甘さに直接の因果関係はありません。

パターン(2) 観察事項の解釈が主観的、曖昧なもの

観察事項が主観的で、数値化しにくく偏っているデータになってしまっています。

観察事項①・・・秋田県出身の友人Aさんは美人だ
観察事項②・・・秋田県出身の女優Bさんは美人だ
観察事項③・・・秋田県在住のCさんは美人だ

結論(間違った結論)・・・秋田県の女性は美人である

秋田県在住や秋田県出身といった前提の条件のブレと、美人といった主観に頼る観察事項によって、論理的には破綻しています。

(※あくまでも例えです。秋田県の方が美人だということを否定しているわけではありません)

パターン(3) 少ないサンプルで結論を出してしまう

少ないサンプルでわかること以上の結論を作り破綻する、一般化を急ぎすぎた例です。

観察事項①・・・アメリカ人のAさんは、ビールをすすめても飲まない
観察事項②・・・アメリカ人のBさんの家にはビールが置いてなかった
観察事項③・・・アメリカ人のCさんは、居酒屋でコーラを注文していた

結論(間違った結論)・・・アメリカ人は、ビールを飲まない

身近な3人のサンプルだけで、約3.3億人のアメリカ人のことを決めつけるのは、強引すぎます。適正なサンプルのボリュームを使わなければならない、という例です。

\論理破綻するアプローチパターン/
  • 共通項と、導き出される結論に関連性が無い
  • 具体的な観察事項が曖昧で、その解釈が偏っている
  • サンプルのデータ数と結論のボリュームのバランスがおかしい

帰納法の論理破綻が見破れない理由

人は帰納法を使って論理的に話をされると、騙されてしまう事が有るのは、なぜでしょうか。それは、観察事項が、過去の経験や事実なので騙されやすいのです。過去の事実である観察事項自体は否定できない、ということがポイントです。

意図的な論理破綻の注意点

帰納法が論理破綻するパターンを3つ紹介しました。落とし穴にハマってしまうのは、結論を導く観察事項に問題が有ることが原因ということは、おわかりいただけたと思います。

気をつけなければならないのは、論理破綻を導く観察事項を意図的に仕組むことが有るということです。要するに、結論ありきで論理を作ることが出来るということです。結論に結びつく観察事項だけを集め、不都合な観察事項を破棄すると、帰納法は悪用出来てしまいます。

帰納法の論理破綻を見破るには

冷静に考えると「そんなわけない」と感じます。しかし、ビジネスの話や経済、社会問題の話となると、簡単に騙されることが多くなるので注意が必要です。
この論理破綻に気づくには、例外とされサンプルに入っていない事に着目してみることです。

【まとめ】論理破綻のアプローチ

ここまで説明したように、結論ありきで都合の良い観察事項を都合よく合わせて、無理やり結論に紐づけている帰納法的な論理があります。その中には意図的なものも存在します。
ビジネスの世界でも、また地球環境における考察でもありえます。受け取る側は、騙されないように、論理を確認しなければならないでしょう。データが思い込みで偏って解釈していないか、全体に対して極端に少ないサンプルで判断していないか、などに注意して下さい。

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。

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