演繹法とは、論理展開の手法のひとつです。観察事項を一般論に当てはめて、より具体的な結論を導き出します。ここではこの演繹法の落とし穴を知って、演繹法を使う効果を高めるポイントを紹介します。
演繹法の使い方と注意点
演繹法とは、論理展開の手法のひとつです。難しい論理展開ではない場合も、演繹法を使うことで伝わりやすくなります。しかし、演繹法には落とし穴も有るので、使い方には少しだけ注意が必要です。
ここでは、一般的な演繹法の解説と、効果的な使い方、演繹法の注意点を紹介します。
演繹法による論理展開
事実である観察事項【A】と一般論である暗黙の了解【B】を組み合わせて、具体的な結論【C】に結びつける方法です。
シンプルに書くと
【A】=【B】 で 【B】=【C】 ならば【A】=【C】
となります。
演繹法の使い方
よくある演繹法の使い方は、経済状態の推察や予測をする時などによく見られます。仮に「社会情勢が不安定ならその国の経済状況は悪くなる」というのが一般論で、共通認識を持っているのであれば、次のように仮の推察が出来ます。
「A国の政権が変わり社会情勢が不安定になったので、経済状況が悪くなるでしょう。」
この様に、ある一定の法則を共通認識として持っている場合、国の経済や、会社の経営状況の推察を行った場合、伝わりやすくなります。
演繹法の簡単な例え
演繹法の伝わるポイントは、暗黙の了解が互いに共通認識になっているかという点です。一般的に多くの人が知っていることと、自分やその周りだけで知っていることの区別が出来ないと、話が伝わりにくい論理になります。
この絵のように暗黙の了解が、誰もが共通認識としてもっているレベルにすることで、伝えたい論理が伝わりやすくなります。
① 黒い雲が出てきた → 黒い雲は雨を降らせる → もうすぐ雨が降る
② りんごは果物だ → 果物は食べられる → りんごは食べられる
③ 今日は日曜日 → 日曜日は休みです → 今日は休みです
この様に一般的に当たり前だと考えられることも、暗黙の了解の事項が、共通認識として成立している場合、暗黙の了解【B】を省いても、伝わりやすい論理になります。
演繹法の落とし穴、注意点
演繹法を使うには、注意しなければならないポイントがあります。
まず、自分だけが知っている事や、狭い社会だけで通用する常識を暗黙の了解として使うと、伝わらないものになることがあります。また、観察事項を細かく設定したり、論理を5段以上数多くつないでしまうと、論理の破綻に繋がるため、注意が必要です。
演繹法の落とし穴 話が飛ぶ?
演繹法で落とし穴にハマりやすいパターンを見てみましょう。上の項目で挙げた3点です。
話が飛ぶ原因は、『思い込み』
一般的に通用する常識を使っていない場合、問題点の多くは『思い込み』にあります。この『思い込み』とは、自分の常識は、みんなの常識と同じという『思い込み』です。すると、暗黙の了解ではなくなり、『A』=『C』が伝わらないのです。
一般的な常識を論理に入れていない場合
『思い込み』で話をすると伝わらない例です。この場合、「外に行けないと運動不足になり太る」という考え方を常識だと考え、伝えない場合を考えて下さい。
「雨が続いたから太ってしまった」と、よくわからない論理を展開して、相手に伝わらない結果になります。
この場合、聞いていた相手は「?」となって、「話が飛んだのではないか?」とも思ってしますます。
暗黙の了解が細かすぎる場合
論理展開が細かすぎる有名なものに、『風が吹けば桶屋が儲かる』という話があります。これは、一段づつの論理に強引な部分はあります。ウソとまでは言われなくても、因果関係の薄い例えば、出だしの部分「風が吹くと砂が舞う、砂が舞うと目に入って失明する」ウソではないかもしれません。しかし、一般的に大半の人が経験する事とは、離れてしまっているのではないでしょうか。
論理展開が多すぎる場合
論理を多くつなぎすぎているのも『風が吹けば桶屋が儲かる』という話です。この話は論理構成が8段になっているで、最初の風の話から、桶屋の売上の話へと、完全に話が飛んでいる例としてよく用いられます。
ここまで飛躍することはないとしても、論理展開する際は、この3つの落とし穴に注意して下さい。
その他の論理展開についての参考記事
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